「造形会社で 3D のデジタル技術を使う」となると、どうしても 造形(モデリング)の部分だけに注目されがちです。
以前掲載したコラムでも、主に「デジタルの造形」の特徴に触れました。
コラム「造形製作にデジタルを使う時」
実は、その他にも 造形製作 において 3D のデジタル技術 で出来ることはあります。
今回は、造形(モデリング)以外にデジタルで出来ることについて、注目しましょう。
「造形」だけではなく「設計」にも
当然の如く【3D】と言っていますが、改めて 3D というのは 【3 次元】のことです。
パソコン上で立体物を造形することが出来る物を、3D のモデリングソフトとか、3DCG ソフトなどと 言ったりしています。
ところで、【3D-CAD】という言葉を聞かれたことはありますか?
【CAD】というのは、(=Computer Aided Design)の略です。
日本語に直訳すると、「コンピューター支援設計」。
コンピューターによって設計を支援してもらう道具のことを、CAD と呼んでいます。
CAD には、
■ 2D-CAD(コンピューター上で、平面図面を作るソフト)
■ 3D-CAD(コンピューター上で、3Dの図面=立体物をそのまま設計できるソフト)
があり、この 3D-CAD が造形製作における「設計」の場面で、活躍することもあるのです。
3D-CG と 3D-CAD の違い
【3D-CG】と【3D-CAD】
この2つは、「コンピューター上で 3次元の物を作る=3D データを製作する」という点では一緒ですが、テーマが 実は違います。
簡単に言うと、
● 3D-CG:立体的な物を製作、デザイン、ディティールを作るのに優れている
● 3D-CAD:立体的な物の製作、設計(中身の正確な寸尺など)をするのに優れている
というところでしょうか。
この2つを、私たちも製作においてうまく活用します。
ロボットやアニマトロニクスで活用
では、どんな場面で 3D 設計は活躍をするのか?というと、ゼペットでよくあるのは
◆ ロボットを作る時
◆ アニマトロニクスを作る時
などが多いです。
例えば、以前のコラムでも紹介をした このロボットは、自走をします。
ということは、この体の中に ロボットの機械部分は 全て収納されていなければなりません。
そのために、外見のデザインの他、内側に全ての機械・パーツが収納出来るよう、パソコン上で 3D 設計されています。
また、このアヒルのキャラクターの中身も、パソコン上で設計をされています。
このアヒルは 遠隔操作のアニマトロニクスのため、このボディの中に口を開閉、羽ばたき、歩くための 動力や機械を収納する必要がありました。
要は、 【限られたスペースに必要なパーツをいかに収納するか?】 という点で、3D 設計が役立つのです。
3D デジタルで設計をするメリット
2D(平面)の図面は 読図能力が必要ですが、3D データであれば 実物そのものがパソコン上にあるので、誰が見ても 簡単に形状を確認できます。
画面内で形状を回転させ、あらゆる角度からチェック出来るのがメリットです。
そして、3D で設計をすることで、実際に製作をする前に パーツを組み上げた後の干渉チェックをすることが出来ます。
(※干渉=部品同士がきれいにはまらず、ぶつかり合ってしまうこと)
パーツを作って組み上げて、
「あれ?全然パーツが入らない!!!」というトラブル、作業の後戻りを防ぐ役目にもなります。
勿論、身内だけの話ではなく お客様に製作の進捗や完成形を 3D データで確認頂けるのも、大きなメリットですよね。
製作効率をあげるツール
世に出回っているプロダクトの開発現場においては、当たり前のことかもしれません。
ですが、私たちのような 一点物を製作することが多い 造形の業界においても、このような工程はつかわれています。
【造形】だけでなく【設計】においても、アナログな作業だけではなく デジタルのそれぞれの特性を理解して、製作のクオリティと効率を上げていくことができるのです。